歯科医が教えるオールオン4のすべて » インプラントのリスク・トラブル事例 » 欠けた・折れた・揺れる

欠けた・折れた・揺れる

高い治療成功率を誇るインプラント治療ですが、治療終了時の状態が、そのまま継続する訳ではありません。

ここでは、インプラント治療が終了し、時間が経過して起こる様々な問題を紹介します。

インプラント治療終了後の主なトラブル事例

インプラント治療の10年経過時の成功率は90%以上と言われています。

適切なメンテナンスを行なえば多くの場合長期に機能します。しかし、さまざまな理由で不都合な事態が起きてしまうこともあります。

主なトラブル事例を確認しておきましょう。

■インプラントで治療した歯が動く、揺れる

インプラントによって支えられた歯が動く場合はインプラント本体が骨との結合を失い動いている場合と、インプラント自体の骨との結合は問題なくても、インプラントにネジで接続された土台(アバットメント)のネジが緩んだり、破損したりした場合にインプラントに接続された歯が揺れたり、動いたりする場合があります。

また、土台(アバットメント)と補綴物が一体化した人工の歯のパーツから歯ができている場合も、これらのパーツを固定しているネジが緩んだり、折れたりすると人工の歯が動きますし、人工の歯がセメントで接着されている場合は、セメントが溶けたり壊れることによって歯が動いたり外れることがあります。

■インプラントで治療した歯が欠けた

インプラントで治療した歯が欠ける一番大きな原因は夜間の食いしばりや歯軋りであると考えられています。

これを防ぐためには定期的な点検と調整、夜間のナイトガードの装着が必要です。それでも補綴物が破損する場合は、金属歯の選択が必要となります。

夜間の食いしばりや歯軋りは補綴物の破損だけで無く、インプラント本体の破折やインプラントと骨との結合を破壊する場合もありますので、歯ぎしりやくいしばりを自覚していなくても夜間のナイトガードの装着が重要です。

その他の補綴物の破損の原因としては転倒や交通事故による打撲、硬いもの(氷やカニの殻など)を噛んだりした場合も歯が割れたり欠けたりします。

統計データ的には、セラミックや樹脂による審美性の高い補綴物は10年で60%程度は補綴物が欠けたり割れたりするという報告がありますが、補綴物自体は車のタイヤのような存在で、普通に使用していいても、消耗品なのですり減ったり、割れたり寿命がありますので、一定期間での交換が必要となります。

■食べ物が詰まる

天然歯とインプラントが混在する口腔では食後にしばしば食物が挟まることがありますが、これは異常なことではありません。

全ての天然の歯が揃っている綺麗な歯列でも、食後に歯と歯の間に食物が詰まるのは一般的なことです。

天然歯は歯根膜という柔らかい組織で骨と連結されていますので、咬むと歯の位置が動きます。

一方、インプラントは骨とダイレクトに結合していますので、物を噛んでも、ほとんど位置は動きません。

そこで、物を食べると動く歯と、動かないインプラントで治療した歯の間に食物が挟まったり詰まったりする現象がしばしばおこるのですが、これはある程度ヤムを得ないことなのです。

食後は毎食後、歯間ブラシやフロス、歯ブラシで清掃を行うことを心がけましょう。

■インプラントが抜けた。

インプラントを支える骨が吸収した場合にインプラントは骨から脱落します。

インプラントを支えている骨が吸収してしまう理由としては、細菌が原因のインプラント周囲炎と、食いしばったりする力が過度にインプラントを支えている骨にかかり、骨が吸収する場合があります。

細菌が原因のインプラント周囲炎に対しての予防は、日々の清掃と歯科医院における定期的なチェックとクリーニングが必要で、食いしばったりする力が過大な場合には、日中は意識して噛み締め無いように注意し、夜間はナイトガードを使用し歯やインプラントに加わる過大な力を防ぐことが重要です。

一旦インプラントが抜けてしまった場合は、簡単に元どおりにすることは不可能で、もう一度インプラントを埋め直す手術が必要です。

インプラントを長期に使用する為には、毎食後の口腔内の清掃と夜間のナイトガードの装着そして定期的に歯科医院で健診を受け、口腔を管理することが重要です。

■天然歯が揺れる

インプラント治療後、残存している天然歯が歯周病が進行したり、顎骨の変化などにより、噛みあわせが変化してぐらつく場合があります。

その場合、インプラントに過度な力がかかり、インプラントが抜け落ちてしまうことがあるので、日頃から定期的に診察を受けチェックをしなくてはなりません。

部位別のトラブルの内容と歯科医院での対処法

について解説していきます。

人工歯で起きるトラブル

症状 予想される原因 起こる時期 医院での対処法
動く、ゆれる ネジの緩み、ネジの破損 治療中 治療終了後 ネジの締め直し ネジの交換
欠ける・割れる・ヒビが入る 夜間の食いしばり、 ナイトガードの使用をしていない、 硬いものを噛んだ、 打撲などの外傷 噛みあわせの不具合 治療終了後 補修・修理、補綴物の再製作 ナイトガードの製作 噛みあわせの調整
食べ物が詰まる 基本的に食べ物は食後に詰まります。 治療終了後 毎食後の歯磨き 人工歯の調整

インプラント体で起きるトラブル

症状 予想される原因 起こる時期 医院での対処法
グラグラ動く 抜けた 毎日の清掃状態が悪いことによる骨吸収、夜間の食いしばりによる骨吸収 治療終了後 基本的にはインプラントの再埋入が必要で、治療し終了後は医院に定期的に通いメインテナンスを受け、日々は清掃を毎食後行い、夜間はナイトガードを装着する。

参考書籍:

「専門家が教える歯科インプラントのすべて」P95

インプラン治療後の欠けなどについてのまとめ

トラブルが起こったら、歯科医師に相談をするのでは無く、日頃から歯科医院でメインテナンスを受けトラブルが起こらない様にすることが重要です。

インプラントは天然歯のように神経が通っていないだけで無く歯根膜という感覚受容器がありませんので、トラブルが起きていても自覚症状を感じない場合があります。

症状が悪化して気づく頃には治療が難しい場合があるので、定期的な健診が欠かせません。定期的な健診を受けている場合でも、少しでも歯や口内の感覚に違和感を持ったら、すぐに歯科医師に相談しましょう。

自分の歯の状態に近いオールオン4の症例は?