歯科医が教えるオールオン4のすべて » インプラントのリスク・トラブル事例 » インプラント治療における骨造成のリスク

インプラント治療における骨造成のリスク

インプラント治療においてインプラントを埋める骨が不足している患者に対しては、インプラント埋入手術前に骨造成を行い、骨を増やすことが必要です。しかし骨造成にはリスクもあります。骨造成に関するリスクについて解説していきます。

インプラント治療における骨造成について

一般的なインプラント治療においては骨造成が必要な場合が多い。

人の歯牙は顎骨の歯槽突起に埋まっています。しかし、この歯槽突起は歯が無くなると時間の経過と共に吸収して無くなってしまいます。

報告では前歯部では抜歯後半年で70%の体積が吸収していまうという報告があります。

歯槽突起の吸収の抑制

インプラントを埋めることにより、歯槽突起の吸収を抑制することはできますが、完全に止めることは不可能です。 インプラントは自分の歯の代用品として考えられてきましたが、インプラントと自分の歯とでは大きな違いがあります。

インプラントは骨に対してダイレクトに接合していますが、歯牙には歯根膜が存在します。この歯根膜は歯のクッションの役目をしますが、歯を支えている歯槽骨(顎骨の歯槽突起)を維持する能力があるのです。

歯を抜いてしまうと歯根表面の歯根膜が無くなってしまうので、以前、歯牙が埋まっていた骨も無くなってしまい、骨移植をしなければインプラントを埋めるべき場所に骨が無くなってしまうのです。

吸収の抑制や歯槽骨増大のため抜歯と同時に骨移植や骨造成手術が行われる

そこで、歯を抜くと同時に抜歯した穴に骨補填材を入れて歯槽骨の吸収を抑制するソケットプリザベーションという術式や既に無くなってしまった歯槽骨を増大する骨移植やGBR、また上顎洞内に骨を作るサイナスリフトなどの骨造成手術が行われます。

骨造成の種類

自家骨移植

1.口腔外からの骨採取

吸収した顎堤を増大させる為に、最も昔から行われている方法は自家骨移植です。

特に、外傷や腫瘍などで大きく顎骨を失った場合は腸骨移植です。

全身麻酔下で腰骨を採取し、口腔内に移植します。現在でも大きな骨欠損に対して骨造成を行う場合は腸骨移植を行います。

しかし、腸骨移植は術後も1週間程度の入院が必要となりますし、退院後も1ヶ月程度は痛みによる歩行障害を伴いますので、腸骨移植が必要な程、骨量が必要ない場合はより侵襲度の低い脛骨移植が行われるようになってきました。

2.口腔内からの骨採取

大量の骨が必要な場合は全身麻酔下で腸骨移植や脛骨移植を行いますが、そこまで大量の骨を必要としない場合は口腔内から骨を採取して移植に用います。

採取部位としてはオトガイや下顎の頬棚部から採取することが一般的です。

その他に、少量の細片骨であれば、小型のカンナのようなボーンスクレーパーという器具でインプラント埋入部位周囲からの採取も可能です。

3.他の人の骨を用いる場合

日本国内では薬事承認が下りていませんが、諸外国では死んだ人の骨を加工して骨移植材として使用することがあります。

4.動物の骨を用いる場合

インプラント治療において現在最も一般的な骨補填材は動物の骨を原材料としたものです。

世界的に最も実績のある骨補填材はBio-ossですが、これは狂牛病のリスクの無いオーストラリアの牛の骨が原料です。この材料は多くの文献から実績が証明されており、安心して使用することが出来る移植材料です。

Bio-oss以外にも牛や豚、馬の骨を用いた骨移植材がありますが、Bio-oss以外は現時点では薬事承認が下りていませんので使用することが出来ません。

5.化学合成した人工材料

ハイドロキシアパタイトやβ-TCPなどの化学合成した人工材料が存在しますが、ハイドロキシアパタイトは吸収しませんが、永久的に感染のリスクが付きまとい、β-TCPは骨が出来る前に吸収して無くなってしまう場合があり、最終的に出来る骨量が安定しなというリスクがあり、世界的にはあまり使われなくなってきました。

GBR法

GBR法は細胞が通過できない小さな穴を持った膜を用いて、自分の骨を自分自身に作らせるという方法です。かつてはゴアテックスメンブレンという非吸収性膜を用いることが一般的でしたが、この製品の販売が終了し、現在、日本では薬事承認がおりた非吸収性膜の販売はありません。そこで、Bio-ossで骨ができるスペースを確保した上でバイオガイドなどの吸収性メンブレンを併用するという術式が一般的です。

サイナスリフト法(ラテラルアプローチ)

上顎の臼歯を抜歯した場合、上顎臼歯部の上には上顎洞という空洞が存在しますのでインプラントを埋入できるだけの十分な骨量が存在しない場合が珍しくありません。

日本人の場合、大臼歯部に残存する骨量は5mm前後が一般的です。インプラントが長期に安定する為には術後の骨の吸収などを考慮すると10mm以上のインプラントを使用することが理想的と言われていますし、インプラントの先端部は上顎洞底にダイレクトに接触するのでは無く、2mm程度の骨を介在していることが望ましいと言われています。

インプラントの先端部が上顎洞底にダイレクトに接触していると、風邪などで一時的に上顎洞炎になった場合、インプラント自体が感染して永続的な感染源となるリスクがあるからです。

既存骨が2mm程度しか残っていない場合

既存骨が2mm程度しか残っていない顎堤に対して13mmのインプラントを安全に埋入する為には上顎洞底を13mm挙上する必要があります。 この手術は薄い上顎洞前壁に親指大の比較的大きな穴をあけ、シュナイダー膜という卵の薄皮のように薄い上顎洞内を覆っている膜を剥離挙上して、その隙間に骨補填材を入れます。

手術は通常は静脈内鎮静下局所麻酔で行いますが直視下で行いますのでシュナイダー膜が破れた場合には対処が可能な手術です。

上顎洞内は無菌状態なので落下細菌数をコントロールしたクリーンルーム化した手術室で行うべき手術です。使用する移植材料についてですが、以前は腸骨などの自家骨を用いることが一般的でした。

しかし現在ではBio-ossという人工材料を単味で使用することが最も成績が良いという報告があります。移植材として自家骨を使用しない場合は入院を必要としない侵襲が少ない手術です。

サイナスリフト法

サイナスリフト法は上顎洞前壁に大きな穴を開け、シュナイダー膜を目視しながら挙上しますが、インプラントを埋める穴から移植材を入れてシュナイダー膜を挙上する方法です。

サイナスリフト(ラテラルアプローチ)が無菌化された手術室での手術が標準であるのに対し、ソケットリフト法(クリスタルアプローチ)は通常の歯科治療を行う一般診療室で行われる場合が多いようです。

ブランインド手術であるため十分な骨量を確保することは難しい

一見、簡便な手術で手軽に行われる場合が多いのですが、ブラインド手術という目で見なくて手探りで行う手術ですので長いインプラントを埋めるのに十分な骨量を確保することは難しいというのが実情です。ブラインドでシュナイダー膜を5mm以上挙上する場合、半数はシュナイダー膜が破れ、上顎洞内に移植材が逸出してしまい、慢性上顎洞炎の原因となる場合があります。

顎顔面インプラント学会の報告では、インプラントトラブルで最も多いトラブルは上顎洞内に骨移植材やインプラント本体が落下して重篤な上顎洞炎の原因となっている現実を考えると、ブラインドで行うソケットリフト法(クリスタルアプローチ)はリスクの高い手術であるといえます。

骨造成のリスクと問題点

骨造成の最大のリスクは、出来る骨の量に限界と個人差があるということです。

骨移植のゴールデンスタンダードとしては腸骨の骨髄骨移植と言われています。しかし、移植した骨が、そのままの形で、永久的に安定する訳ではありません。

歯槽骨の吸収が問題

歯牙が無くなってしまった顎堤に移植した自家骨は時間の経過と共に吸収してしまいます。とくにオールオン4が必要な多数歯に連続してまたがる歯牙欠損部に対して移植した自家骨はいくら多めに移植しても、最終的は吸収してしまい、歯があった頃の歯槽骨の高さも幅も確保することは出来ず、理想的な歯肉の状態を得ることは非常に難しいのが現実です。

折角、大掛かりな骨移植をしても最終的には十分な骨量を確保することが出来ず、人工的な歯肉で審美的な要求を満たすしか無い場合が多いのです。これは人工骨を使用した場合も同様です。

患者への負担が大きい

患者自身の骨を使った自家骨移植の場合、移植する骨を自分の骨から得る必要があります。腸骨移植や脛骨移植では入院を伴う全身麻酔下での手術が必要になります。

口腔内からの骨採取でも術後は痛みが残りますし、神経麻痺などの合併症のリスクもあります。

また、通常は骨が出来てからインプラント埋入を行いますし、GBRなどではチタンメッシュの除去など複数回の手術が必要となります。骨移植には時間と痛みと費用を伴います。

動かない歯が入るまでの期間が長くなる

骨造成とインプラントを別々に行う場合、まず移植した骨が完全に安定した後にインプラントを埋入しますので、最初の骨造成手術から動かない歯が入るまで1年程度の期間がかかります。

実施できる歯科医院が限られる

骨造成を安全に行うには、執刀医が専門的な知識や高度な技術を備えている必要がありますし、骨移植手術に必要な医療設備や環境がそろっている必要があります。そのため、どこの歯科医院でも気軽に行えるようなレベルの治療ではありません。

骨造成には実績がある歯科医院を選ぶべき

骨造成が簡単な治療でないからこそ、最初に歯科医院や歯科医の実績などを確認して、信頼性の高い歯科医院を選ぶことが重要です。

骨造成を避けたインプラント治療「オールオン4」

オールオン4は、1日で動かない見た目の良い仮歯が入るという画期的なインプラント治療です。その治療を可能にしたのは、骨のある顎骨部分にインプラントの先端部を食い込ませ初期固定を得て、手術当日に全てのインプラントを連結固定をするというコンセプトと、骨がある部分を探して斜めに埋めた全てのインプラントを連結しても着脱できる為に角度付きの中間アバットメントが開発発売されたことにより可能になりました。

インプラント治療には実績と将来性のある歯科医院選びが重要

インプラント治療自体が骨にドリルで穴を開ける整形外科的な手術です。一般的な歯科医院で行なっている、一般的な歯科治療ではありません。

インプラント治療というだけでも十分な設備や環境、人員、知識や経験が必要ですが、サイナスリフトやGBRなどの骨造成手術やオールオン4を行うとなると、小規模な普通の歯科医院では出来ません。リスクが高すぎます。

安全確実なインプラント治療には実績と将来性のある歯科医院を選ぶことが重要です。

インプラント治療を行う歯科医院を選ぶには、歯科医師個人の技術だけで無く、歯科医院としての実績や将来性が重要になります。特に歯科医師が一人で50歳の場合、30年後には貴方が受けたインプラント治療の管理やトラブル対処は誰が行うことになるのでしょうか?

特に低価格インプラントはドライバーの規格が特殊だったり、特殊なコネクション形状で他社の互換性部品が存在せず、会社が倒産したり、吸収合併で使用したインプラントの規格が変更になり旧製品の部品が既に販売されていないことが日常茶飯事です。インプラントを長く使う為には一流メーカーのインプラントを使用することが非常に重要なのです。

以上のことから歯科医院選びがとても重要なのです

自分の歯の状態に近いオールオン4の症例は?