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インプラントのリスク・トラブル事例

ここでは、オールオン4を含むインプラント治療によって起こり得るトラブルについて解説します。歯や口腔の痛み・痺れ・腫れ・噛み合わせなど、様々なリスクが伴うインプラント治療。そんなトラブルを回避するためにも、事前にしっかりとリスクや対処法について確認しておきましょう。

インプラント治療におけるトラブル

「国民生活センター」の調査によると、インプラント治療により被害を受けたという相談の数は、2006年からの約5年間で343件報告されており、年々増加傾向にあるとされています。その中でも代表的なトラブルとして特に気をつけておきたいのが、「インプラント周囲炎」と「合併症」です。どちらも治療後に起こるトラブルで、早期の対処が極めて重要な問題です。(※1)

インプラント周囲炎

インプラント周囲炎とは、インプラント治療において最も多くみられるトラブルで、インプラントを支えている周囲の骨が溶けてなくなってしまう病気。インプラント周囲の歯肉が炎症を引き起こし、やがてインプラントを支えている骨が吸収されてしまいます。

主な原因は、インプラント周囲に細菌が蓄積すること。日頃のメンテナンスがきちんとできていない場合に起こります。毎日の口腔内のケアが不十分な場合や、歯科医院での定期的にメンテナンスを受けずにいると、歯垢がインプラント周囲に溜まり、菌が骨に感染してしまいます。歯周病に似ている病気ですが、進行スピードはインプラント周囲炎のほうが速く、その速さは歯周病のおよそ10~20倍といわれています。また、進行しても症状が現れにくいため、発症していることに気づきにくいというのも特徴です。

インプラントは天然歯と違って歯根膜という組織が存在しません。インプラント周囲の骨は歯根膜からの血液供給がないため、細菌に対する抵抗力が弱く、感染症を引き起こし、骨吸収を起こす危険性が高いのです。インプラント治療後は毎日の歯磨きといったセルフケアはもちろんのこと、歯科医院で定期的にバイオフィルム除去のメンテナンスを受けることが重要になります。

合併症

インプラント治療においては、手術に伴う上顎洞炎や神経麻痺、上顎洞へのインプラント迷入など、様々な合併症を引き起こすリスクがあります。術前のCT撮影に基づく十分な診査診断、コンピュータ手術シミュレーションから作成された外科用サージカルガイドステントの使用などで偶発的な事故のリスクを減らすことができますが、全くゼロにすることは不可能です。また、糖尿病に罹患している場合や喫煙者は感染のリスクが高くなります。

副鼻腔炎・上顎洞炎

鼻の穴の中のことを「鼻腔」といいますが、この鼻腔のまわりには、骨で囲まれた空洞部分が左右それぞれ4個ずつ、合計8個あり、鼻腔とつながっています。この空洞部分が「副鼻腔」です。

4つの副鼻腔は、「篩骨洞」、「蝶形骨洞」、「上顎洞」、「前頭洞」です。

鼻腔や副鼻腔の中は、粘膜で覆われており、粘膜の表面には「線毛」と呼ばれる細い毛が生えています。線毛は、外から入ってきたホコリや細菌、ウイルスなどの異物を粘液と一緒に副鼻腔の外へ送り出す働きを持っています。

副鼻腔炎の原因

急性副鼻腔炎の多くは、風邪などで、ウイルスや細菌が鼻腔に感染して炎症を起こし、それが副鼻腔にまで及ぶことなどで起こります。炎症のために副鼻腔と鼻腔がつながっている部分が腫れ、副鼻腔内の分泌物や膿などがうまく外に出せなくなって炎症が長引いたり、さらに風邪を繰り返し、細菌感染が繰り返されることによって、症状が3ヵ月以上続くと慢性副鼻腔炎と診断されます。

鼻の炎症だけでなく、咽頭炎や扁桃炎などののどの炎症、真菌、虫歯なども副鼻腔炎の原因となることがあります。

また、細菌感染のないアレルギー性鼻炎や気管支喘息、アスピリン喘息などのアレルギーによって起こる病気が原因となることもあります。

両親が副鼻腔炎の場合は、子供も副鼻腔炎になることが多いという研究結果もあり、遺伝的な原因もあると考えられています。

歯性上顎洞炎

上顎洞は上顎の歯と接近しているので、う蝕や歯根破折、歯周病を治療せずに放置していると、歯性上顎洞炎になることがあります。急性の場合には、歯の痛みに続いて、突然悪臭の強い膿のような鼻汁や頬の痛みが現れます。慢性の場合には、鼻づまりや膿が出てくることが主症状です。

知覚異常・麻痺

インプラント治療は外科侵襲を伴う治療です。手術に伴い術後の「知覚麻痺」「しびれ感」や「感覚異常」が残ることがあるので、この項ではそれらについて解説します。

義歯部分が欠けた

インプラント治療は骨内に埋めたインプラント体(フィクスチャー)に土台(アバットメント)を介して人工の歯を取りつけるという方法で歯を作っています。インプラント治療が終了して、治療終了時の状態を維持する為には日々の清掃と歯科医師による定期的なチェックと管理が必要になります。

インプラントによって作られた歯は自分の歯と同じ様に硬いものでもかむことができますが、自分の歯が割れたり折れたりすることがあるように、インプラントで支えられた人工の歯も割れたり欠けたりすることがあります。この項については、補綴物の破損について解説します。

どうして失敗やトラブルが起きるのか

インプラント治療は医療行為で対象は一人一人が異なる人間です。異なる人間に対して全く同じ医療行為をしても、同じ結果が出る訳ではありません。また、良い結果が出ていても患者さん本人が思っていた結果とは違うこともあります。患者さん本人が失敗だと判断しても客観的には失敗が認められない場合も少なくありません。

骨との結合(オッセオインテグレーション)が得られる確率は100%ではない

現在のインプラントは表面構造が進化したことにより骨と高い確率で結合(オッセオインテグレーション)を獲得できるようになりましたが、100%、全症例でオッセオインテグレーションを得られる訳ではありません。

オッセオインテグレーションが得られない場合、術者がベテランの場合、その失敗原因は患者さん本人にあると考えられます。

現在では糖尿病などの分かっているオッセオインテグレーションを妨げるリスクもありますが、確認出来ていない未知のリスクが存在を否定することは出来ません。

治療後の経過については個人差が大きい

また、インプラント治療が終了した後、どの程度治療効果が安定しているか?インプラントはどのくらいの期間使えるのか?についても個人差が大きいのが現状です。

同じ術者が同じメーカーのインプラントを同じ方法で手術し、同じ方法で補綴をしても、その経過は患者さんによって様々です。

その経過に大きく影響しているのが日々の清掃と、夜間のナイトガードの着用と、定期健診です。

では、失敗しないインプラント治療を受ける為にはどうしたら良いのでしょうか?

失敗しないインプラント手術とは

インプラント手術が失敗する原因は、医療機関の選択ミスによるものがほとんどです。

歯科医院は沢山ありますが、インプラント治療に対して十分な実績がある歯科医院はそれほど多くはありません。開院後10年しか経過していない医院では10年以上の経過を持っていない訳です。

また、歯科医師の技術だけで無く、設備やシステムも重要です。インプラント治療を安全に行う為にはインプラント手術を行う歯科医師以外に、麻酔と全身管理を行う歯科医師が必要です。

歯科医師が一人しか常駐していない歯科医院ではインプラント手術時に派遣で麻酔医を確保しているか?ということがインプラント治療を受けて良いか?どうか?の重要な医院選びのポイントになります。

失敗しないためには病院選びが重要

インプラント手術は1人の歯科医師で行うものではなく、チームで行う仕事です。全身状態を管理、コントロールしながら手術を行う為には静脈路を確保した状態で手術を行う必要があります。

また正確で安全なインプラント手術を行う為にはCT、手術室、手洗いシンク、コンピュータシュミレーションソフトなどの機材や環境を保有している必要があります。

名医と呼ばれる歯科医師でも、十分な手術環境と熟練のスタッフの協力がなければ、まともなインプラント手術はできません。

一般的な歯科治療と同様に考えては危険です。インプラント治療を検討する際は、十分な実力と実績があり、安全かつ充実した医療環境を備えている歯科医院かどうかを見極めるべきでしょう。

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歯科医院の選び方

患者さん自身が注意しておくべきこと

インプラント治療でのトラブルは、主に医療的なミスといった技術力の問題だけでなく、患者さんの勘違いや思い込み、治療後のメンテナンスの問題、歯ぎしりやくいしばりなどの力の問題などによって起こります。医療には常に限界があり、必ずしも患者さんが期待する結果を達成できない場合がしばしばあります。では、そういったリスクを減らすためにはどうすれば良いのか、実際にトラブルが起きてしまった時はどう対応すれば良いのかを、「国民生活センター」が提示するアドバイスをもとに見ていきましょう。

治療前にリスクに関して歯科医師から十分な説明を受ける

インプラント治療は保険診療ではなく、歯科医院側が費用や治療方法を自由に決められる自由診療であるため、費用も高額になります。そのため、治療を受けるかどうかを判断する際は、歯科医師に十分な説明を求め慎重に検討することが大切です。(※1)

治療後は歯科医師のもとで定期的に検診を受ける

補綴治療後に適切なケアを怠ると、様々な合併症を引き起こす要因となってしまうため、治療後は歯科医師のもとでしっかりとメンテナンスを受けることが重要です。インプラント治療によって受けたトラブルの中には、インプラントの設置が完了してから長期間が経過した頃に身体症状が現れたという事例も複数報告されています。インプラントを健康な状態に保つためにも、歯科医師の指導のもと適切な口腔ケアを行うとともに、定期的に健診を受けるようにしましょう。(※1)

治療により被害を受けた場合は弁護士による法律相談を受けることも可能

インプラント治療によって被害を受けた場合は、セカンドオピニオンを受けたり、大学病院で受診したりするのも一つの方法です。治療に納得がいかず返金や補償を求める場合は、有料となるケースもありますが、弁護士会による法律相談を受けることも可能です。
また、治療により問題が発生した場合は、新たなトラブルの解決や未然の防止に繋げるためにも、各地にある医療安全支援センターや歯科医師会、保健所などに情報提供するようにしましょう。(※1)

インプラント治療でトラブルを抱えた方へ

吉岡歯科医院では30年の歴史がありインプラントの歴史とともに「現在あるべきインプラント治療」の姿を追求してきました。

30年間の実績としては膨大な症例数と術後経過の分析データです。過去の症例の経過を分析することにより、他機関には無い、多くのノウハウが蓄積されていおり、膨大な経験と実績があるいうことです。

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参考文献

※1)「独立行政法人国民生活センター」,『歯科インプラント治療に係る問題』[PDF]

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