歯科医が教えるオールオン4のすべて » オールオン4の歯科医院選び » 一流品のインプラントを扱っているか

一流品のインプラントを扱っているか

世界で流通している一流品のインプラントは高価です。安価なインプラントの倍以上の値段がすることも珍しくありません。

高価な一流品のインプラントが必ずしも安価なインプラントより結果が良いと言い切ることは出来ません。しかし、どんなインプラントを使用しているかによって、歯科医院のインプラント治療に対する姿勢、目指している方向を判断することが出来ます。

一流メーカーのインプラントを扱うメリット

一流品のインプラントは、世界中で流通しています。治療を受けた歯科医院が閉院しても、患者さんが海外に転勤しても、他の歯科医院で対処することが可能。アバットメントなどの多種多様な補綴パーツも揃っています。それどころか自社のみならず、多くのサードメーカーが各種互換性のあるパーツを製作していて、治療後のいろいろなトラブルや状況の変化に対応することが可能です。

一方、安価なインプラントはメーカー自体が無くなってしまったり、使用するドライバーサイズが特殊で、治療後の修理やトラブルに対して他の医療機関では対応が出来なかったりすることも。さらに補綴パーツの種類が少なく、口腔全体の状況が変わった時、使い物にならないインプラントとして撤去する場合がしばしばあるのが現状なのです。

治療費が安価な医療機関の注意点

価格設定を安価に設定している医院は、使用しているインプラントも安価である場合が多いようです。

安い治療費でインプラントを受けられることは一見いいことのように感じるかもしれません。しかし、対応できるクリニックが限られているため、治療を受けた歯科医院が閉院した場合や引っ越しをした場合は、トラブルがあった際にメンテナンスを受けられなくなる可能性も。長く使うインプラントだからこそ、使用しているインプラントが世界中で販売されているメジャーなインプラントなのか?世界の一流インプラントジストが日常的に使用しているインプラントかを見極めることが重要です。

現在オールオン4に使用されているインプラント

ここでは、知名度が高いオールオン4という名前で、フルアーチ即日荷重インプラントシステムを紹介していますが、本来はオールオン4という用語はNobel Blocare社のみに使用が許された名称です。フルアーチ即日荷重インプラントシステムの名称についてはZIMMER-BIOMET社ではDIEM2(ラテン語で1日でという意味)という名前の商品で、ストローマン社ではPro-Archという名称でシステムを販売しています。

オールオン4は、角度を変えられるネジ止め式の中間アバットメントの存在が重要

オールオン4はパウロ・マロが発案したコンセプト名で、ねじ止め式の全顎式のインプラント補綴である、ボーンアンカードブリッジの一分野です。ボーンアンカードブリッジとオールオン4の違いは2つ。オールオン4はインプラント手術を受けた当日に固定式の仮歯が装着されるということ。そして、上顎は上顎洞を、下顎はオトガイ孔を避けて、後方のインプラントが傾斜埋入されるという点にあります。

多くのインプラントメーカーがねじ止め式のボーンアンカードブリッジに対応していますが、オールオン4の特徴である傾斜埋入に対応するには、インプラントと補綴ネジの方向を変えるため、30度の角度付きの中間アバットメントが必要です。

この30度の角度付きの中間アバットメントを、Nobel Blocare社では「マルチユニットアバットメント」と呼んでいます。このページでは、マルチユニットアバットメントと同等の結果を出せるメーカー純正パーツを供給しているインプラントメーカーを紹介します。

また、インプラント治療歴30年、サイト監修者である吉岡喜久雄が、既にオールオン4で実績があると判断されたメーカーについては、それぞれのインプラントメーカーの側面を辛口評価しています。

Nobel Blocare社

世界で最も偉大なインプラントメーカーを挙げるとするなら、間違いなくNobel Blocare社です。このメーカーは、現在主流の充実スクリュータイプのブローネマルクインプラントを販売し、そのブローネマルクインプラントを進化させ現在でも販売しています。ちなみにオールオン4に使用されるスピーディーインプラントは、オールオン4の考案者であるパウロ・マロがブローネマルクインプラントの先端部を山型にして、先端部で初期固定を得られるインプラントに改変したものです。

また、Nobel Blocare社はステリオス社を買収し、リプレイスインプラントという名の歯根型インプラントをメジャーにしました。またプロセラシステムとしてCADCAMをインプラントメーカーとして売り出した功績も非常に大きいと言えます。何事にも先鞭を付け、業界をリードするメーカーであり、インプラントブーム・インプラントバブルを牽引したメーカーです。

オールオン4を成し遂げるには角度付きのマルチユニットアバットメントが必要ですが、これを開発したのもNobel Blocare社で、その直径4.8mm、高さ2.2mmという規格は、ZIMMER-BIOMET社、BioHorizons社、Denstply社など多くの有名なインプラントメーカーが採用し、現在では業界標準規格になっています。

現在はインプラントと骨が軟組織の介在なく、ダイレクトに結合するインプラントが現在は主流ですが、その結合様式をオッセオインテグレーションと呼び、それを歯科インプラントに応用して世界に広めたのがスェーデンのブローネマルク教授です。

彼が開発したインプラントを「ブローネマルクインプラント」と呼び、そのインプラントを取り扱ったのはNobel Blocare社の前身のノーベルファルマ社です。

Nobel Blocare社はインプラントの販売において、かつては世界No1のシェアをもつブランドですが、現在は2位に位置しています。現在は歯科業界最大王手のダナハーに買収されて、傘下に位置しています。

Nobel Blocare社が30度の角度付きの中間アバットメントであるマルチユニットアバットメントを開発、発売したことにより、オールオン4という治療が可能になりました。

Nobel Blocare社が販売しているインプラントシステムとしてはブローネマルクシステム、ノーベルアクティブ、ノーベルパラレルCC、ノーベルテーパードCC、ノーベルリプレーステーパード、ノーベルスピーディーなどがあります。

吉岡喜久雄のNobel Blocare社に対するポジティブ評価

現在の歯科インプラント業界を牽引してきたのはNobel Blocare社です。ブローネマルクインプラントを改良し、現在のスクリューインプラントのスタンダードを確立したメーカーです。

吉岡喜久雄のNobel Blocare社に対するネガティブ評価

かつてインプラント業界においてNobel Blocare社の存在は絶対的なトップに君臨していました。ところが、近年Nobel Blocare社のブランドイメージは失墜してしまったというのが実情です。

Nobel Blocare社は現在は歯科業界のトップ総合商社であるダナハーの傘下に入りました。しかし、その直前は投資顧問会社が経営に対して大きな影響力で介入し、開発したばかりで十分な検証が出来ていない製品を発売したり、ソフトウエアを購入すれば誰でも簡単にフラップレスでオールオン4手術が可能であるという誇大広告をおこなったりと、販売実績最優先の姿勢が大きく、ブランドの信用を落としてしまったのです。

患者さんや歯科医師不在のNobel Blocare社はマネーゲームの渦に飲まれ、株価の維持と配当が最優先され、医療メーカーとしての倫理性を深く追求されました。

Zimmer-Biomet dental社

Zimmer-Biomet dental社は以前はZIMMERとBiomet3iという別々の歯科インプラントを扱う会社でしたが、現在はそれぞれの親会社が統合されZIMMER-BIOMET社になりました。また統合される前のZIMMER社もBiomet社も整形外科領域では世界のトップブランドで、その2つの会社が統合され、ZIMMER-BIOMET社は整形外科ではトップシェアの会社となりました。

歯科インプラントにおいては、統合する前からのScrew-VentというシステムとBiomet3iインプラントを扱っています。現在、日本においてはScrew-Ventというシステムと3iインプラントでは取り扱うディーラーが異なっていますが、Screw-VentもBiomet3iも供にNobel Blocare社のマルチユニットアバットメントと互換性があるアバットメントを販売しており、Biomet3iのDIEM2と呼ばれるシステムはNobel Blocare社のオールオン4システムに次いで、世界2位のフルアーチ即日荷重インプラントシステム販売実績があります。

また、Biomet3i社は2000年からDIEM1という即時荷重システムを販売しており、即時荷重においては実績のあるブランドです。Biomet3i社は最初はブローネマルクインプラントのアバットメントなどの改良品を発売するメーカーとして始まりましたが、1996年に現在多くのメーカでー採用されているチタンのインプラント表面に酸処理を用い、オッセオタイトという現在でも販売され通用する世界初の粗面を開発したメーカーでもあります。

ZIMMERインプラントもアメリカでは非常に古くからの老舗インプラントメーカーで、コアベントインプラント時代からの最も古いインプラントメーカーの一つでもあります。この二つの会社が合併し、Zimmer-Biomet dental社となったことで、業界シェアは現在世界3位です。

Biomet3i社について

1987 年、歯周病専門医であるDr. Richard J. Lazzara が、既存のインプラントを使用して治療する過程で、患者の病態に合わせてきめ細かな適用を行うことができるインプラント体や上部構造の必要性に直面しました。

そこで、冶金学・精密加工を専門とするMr. Keith Beaty に依頼し、品質・精度、審美性の面からも新たな基準となる補綴コンポーネントの開発に着手しました。これがZimmerBiomet Dental の前身の一つである Implant Innovations Inc. ("3i ") の事業原点です。

Dr. Richard J. Lazzaraと監修者の吉岡喜久雄
Dr. Richard J. Lazzaraと監修者の吉岡喜久雄

吉岡喜久雄のZimmer-Biomet dental社に対するポジティブ評価

私自身はZIMMER implantを使用したことは無く、使用したことのあるBiomet implantに対する評価になりますが、このメーカーはNobel Blocare社のように華はありません。ある意味非常に地味なメーカーです。

このメーカーはそもそもが「ブローネマルクインプラントにあったら良いのに」というパーツの製作販売から始まったメーカーなので、改良が得意なメーカーです。そんな訳で、製品自体も発想も非常に保守的なメーカーでもあります。このメーカーの存在位置は常にNobel Blocare社の製品を改良してきたという歴史があり、オールオン4についても、早期にマルチユニットアバットメントと互換性のある製品を出しました。また、インプラントは性能が良いだけで無く、オールオン4に要求される「強度がある壊れないインプラント」という条件をクリアしています。

また、現在のテーパードインプラントは非常に容易に想定した位置で理想的な初期固定を得ることができるインプラントですし、インプラント周囲炎になりづらいインプラントとして定評があります。

吉岡喜久雄のZimmer-Biomet dental社に対するネガティブ評価

この会社は最近Zimmer社とBiomet社が合併したばかりで、現時点では会社としてまだ一体化した動きが出来ていません。ホームページさえまともに出来ていません。この辺りをきちんとして欲しいです。他には、オールオン4に対応するという意味では18mmという長さの長いインプラントが従来型のブローネマルク互換の旧タイプのインプラントしか販売されていません。

つまり、先端部が皮質骨に食い込む必要がある場合に長さが短いインプラントしか無いので、このメーカーのインプラントだけでは全ての症例に対処できないのです。Nobel Blocare社では18mmのインプラントを各種取り揃えていますし、極端に骨質が悪い場合にはイスラエル会社を買収して手に入れたノーベルアクティブインプラントが存在しますが、Biomet社には、極端に骨質が悪い場合に対処できるインプラントが存在しません。また、ザイゴマインプラントを作っていないことも、ブローネマルク互換性インプラントを作っている以上問題です。

BioHorizons社

このメーカーのインプラント事業が始まったのは1994年で、世に出たのは1997年。比較的最近のことです。Carl E. Mischが設立に関わっているということで、会社の設立当時から注目されていました。ただ、当初のマエストロインプラントというのはネジ山がスクエアな形状をしており、オールオン4に向くデザインではありませんでした。また、マエストロインプラントのコネクト形状はエクスターナルヘックスでしたが、直径はブローネマルクシステムと同じでしたが、六角形の出ている部分の高さがブローネマルクが0.7mmであったのに対し、ステリオスインプラントと同様の1mmを採用していました。

このメーカーがいきなりトップランクに登ったのは、2006年にBio-Lok社を買収し、Laser-Lok® technologyを手に入れることができたからです。

Laser-Lokについての説明は他に譲りますが、2007年にはBio-Lok社が販売していたインプラントのコネクションをパラゴン規格である、インターナルヘックスに変更しました。そして2012年にNobel Blocare社マルチユニット互換製品を出してオールオン4市場に参入しました。

2015年には、18mmの長いインプラントを発売し、オールオン4に対する、一通りのシステムを供給できるようになりました。

吉岡喜久雄のBioHorizons社に対するポジティブ評価

このインプラントはネック部に上皮嵌入を阻止する目的でレーザーロックという構造が施してあります。これによってインプラント周囲炎になるリスクを抑えています。

また、このインプラントは素材が純チタンでは無く、チタン合金をを使用していて強度が65%強化されています。

吉岡喜久雄のBioHorizons社に対するネガティブ評価

臨床的にメーカーが主張する程のレーザーロックの効果をそれほど実感できないことと、インプラントの表面性状が骨に対する結合に対して、他メーカーと比較して劣っている印象があります。

そして、アバットメントとの接合面が面積が非常に狭いべベル面なので、いくらチタン合金を使用していると言っても強度的に不安があります。

インプラントの基本デザインが、1997年のマエストロインプラントと2006年に買収したBio-Lok社のデザインそのもので古いのです。新しい、テーパードショートのデザインは素晴らしいので、従来からインプラントデザインも見直す時期に来ているように思います。

NEOSS社

成熟したインプラント業界で、2000年にデビューし2003年から販売を開始したneossという新興インプラントメーカー。非常に短期間の内にインプラント先進国の中で大きなシェアを獲得し、現在では一流インプラントとしての名声を獲得したネオス・インプラントが日本でも2016年から販売を開始。オールオン4に用いることができる17度と30度の角度付きアクセスアバットメントも用意されています。

ネオス・インプラントはプロアクティブというイオン化された親水性表面を達成しています。ネオス・インプラント表面の炭素の汚染度は15%と低い上に、インプラントが入っているケースはガラスアンプルで出来ており、プラスチックケースと違い、炭素の汚染が進まないので親水効果期限は永遠と言われています。

このエレクトロウェッティングという、インプラント表面に電荷を付与していることによって血液をインプラント表面の隅々まで行き渡らせるシステムです。

インプラント表面は紫外線照射によっても親水性と電荷を付与させることができるということが報告されていますが、ネオス・インプラントはそのまま使用しても血液の馴染みが非常に良く、その効果が永遠に続くということは非常に心強いインプラントです。

ストローマン社

このメーカーは現在、世界で最も売れているインプラントで歴史もある世界No1のインプラントメーカーですが、オールオン4に対するソリューションを確立し、日本で発売されたのは2017年10月3日にRoxoild SLA/SP/BL/BLTが揃ってようやくフルラインナップのシステムが揃いました。

そもそもBL と呼ばれる二回法インプラントを発売したのが2007年ですが、この時に発売されたのはマルチベースアバットメントで、即時荷重であるオールオン4を意識した製品ではありませんでした。

オールオン4についてのSRA abutmentの商品化においては最後発メーカーなので、オールオン4の実績はこれからではありますが、この会社の過去の実績から間違いのないオールオン4に使えるインプラントだと言えるでしょう。

SPIインプラント

VARIOmulti abutment に17度と30度があります、ノーベルバイオケア社のマルチユニットアバットメントと互換性があります。

カムログインプラント

バリオSRアバットメントに17度と30度がありますが、アバットメントの高さがノーベルバイオケアのマルチユニットが2.2mmに対して3.8mmとかなり高いのがインプラント同士の角度の許容性が少ないという特徴があります。

アンキロスインプラント

アンキロスインプラントはデンツプライシロナ社のブランドです。ストレート、15度、30度のバランスベースアバットメントがあります。

Xiveインプラント

Xiveインプラントはデンツプライシロナ社のブランドです。Friadent Multi-purpose abutment ストレート、15度、30度のバランスベースアバットメントがあります。

MIS implant

このインプラントは以前は日本国内で販売されていましたが、現時点では国内では販売されていませんが、multi abutment に17度と30度があります、ノーベルバイオケア社のマルチユニットアバットメントと互換性があります。

自分の歯の状態に近いオールオン4の症例は?