歯科医が教えるオールオン4のすべて » インプラントができないケース » 糖尿病

糖尿病

このページでは、糖尿病だとインプラントができない場合があることについて解説しています。

糖尿病を抱えている人に起こりうるインプラント治療の危険性や、治療の際の注意点、安心して治療を受けるためにしておくべきことを調べてみました。

これらの危険性や注意点に気をつけずにインプラント治療を受けると、安全性が低下する可能性があります。前もって知っておけば糖尿病の人でもインプラントを問題なく受けられるので、ぜひチェックしてください。

糖尿病がなぜ危険か

「治療時のリスク」「骨結合を妨げるリスク」があるので、糖尿病患者へのインプラント治療は危険とされています。[※1]

高血糖状態のため、微小血管の障害が起こりやすく、組織や臓器の低酸素状態を生じる糖尿病。さらに、白血球の一種である好中球の機能にも障害を与えるので感染の危険性が増して、傷の治癒が遅くなる可能性があります。

そのため、糖尿病患者にインプラントを埋め込むと、術後に感染を引き起こしやすくなり、治療の失敗を招くだけでなく重篤な術後感染症を患うリスクがあるのです。インプラント治療に成功しても、メンテナンス時にインプラント周囲炎を繰り返す可能性も。[※2]

また、糖尿病は骨代謝にも大きな影響を与えます。

糖尿病によるインスリンの欠乏や高血糖状態が、新しい骨を作ってくれる骨芽細胞の機能や数を低下させて、骨粗しょう症を招く恐れが。高血糖状態は尿への糖の排泄を増加させるだけでなくカルシウムの排泄も促すため、体内のカルシウムが不足することになるのです。したがって、インプラントを行うと骨の治癒や骨結合を妨げるリスクが高まります。

治療の際の注意点

糖尿病の人がインプラント治療を受ける場合、どのような注意点があるのか調べてみました。

施術前の注意点

糖尿病の人がインプラント治療を行う場合、HbA1c(血管の中でヘモグロビンがブドウ糖と結合したもの)が7.0未満であることが治療を受ける目安になります。空腹時の血糖値が180[mg/dl]以上の人にはインプラント治療を行えません。低血糖による発作を防ぐには、食前にインプラント治療を行わないほうがいいでしょう。

治療時の注意点

糖尿病の人は、細菌感染に対する免疫が弱くなっているため、インプラント治療前に抗菌薬を投与します。体内に抗菌薬を含ませておくことで、細菌が感染しにくい環境を整えるのです。治療中に出血しやすくなるので、必要に応じて止血薬の投与や注射も行われます。

また、局所麻酔薬に含まれるエピネフリンには高血糖を招く可能性があるため、配合されていない局所麻酔薬を使用してもらうようにしてください。

治療後の注意点

糖尿病の人は、インプラント治療を受けた後の傷の治りが悪くなる傾向があります。傷の治りが悪いと、その場所から細菌感染を生じたり、インプラントが抜けたりする原因になるのです。長期間抗菌薬を投与したとしても、傷の治りが悪いために起こる感染は予防できません。かえって抗菌薬への耐性を持った菌の発生を促す可能性があります。治療前にしっかり血糖値やHbA1cの数値を下げてインプラントを受けられる状態しておくことが何よりも大切です。

安心してインプラント治療を受けるために

糖尿病治療で内科へ通院しているなら、インプラント手術ができる可能性が高くなります。主治医の指示により、糖尿病の原因である血糖値を良好な状態にコントロールできるためです。

血糖値の値を測定して基準値以内であれば、担当内科医に意見書をもらうことができます。その後、歯医者の判断でインプラント処置ができると判断されると、治療が開始になるでしょう。

インプラント治療後は食事が思うように取れず、ストレスで血糖値に変動が生じる可能性があります。事前に担当の内科医師に報告や相談をしておくことで、血糖値の変動にも柔軟に対処してくれるでしょう。

参考文献

  • [※1] 歯科インプラント治療指針:日本歯科医学会編[pdf]
    http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/shika_hoken_jouhou/dl/01-01.pdf
  • [※2] 口腔インプラント治療指針2016:公益社団法人日本口腔インプラント学会編[pdf]
    https://www.shika-implant.org/publication/dl/2016_guide.pdf
  • 自分の歯の状態に近いオールオン4の症例は?