歯科医が教えるオールオン4のすべて » オールオン4の症例 » 症例005.女性の上下顎オールオン4症例(40代)

症例005.女性の上下顎オールオン4症例(40代)

症例概要

来院の経緯 患者さんは40歳代の女性ですが、10年程前から歯がグラグラしてきたとのことです。歯科医院を受診したところ歯周病が進行していて多くの歯が保存できないとのことで、多くの歯を抜歯し、残っている歯はとりあえず樹脂で固定したとのことです。もともと歯科医院に行くのが怖かったので、それ以降なかなか通院する勇気が無く治療を中断放置したところ、固定した樹脂に汚れや歯石が付着して、今の状態になってしまったとのことです。
治療にかかった費用 上顎300万円/下顎230万円
治療のリスク この症例の一番のリスクは患者さんが歯科治療に対して強い恐怖心を持っていることです。通常の方法では治療中に怖くなって手術や治療が中断してしまう恐れがあります。手術に対する恐怖感に対しては静脈内鎮静を用い、恐怖感を感じ無い状態で手術を行いました。また手術は抜歯も含め、上下顎、全てのインプラント埋入も、全てがたった一度の手術で終了することが出来ました。治療中は静脈内鎮静が効いていて患者さん本人は意識がボーッとしている内に予定通り1時間30分程度で終了しました。そして、その日の午後には動かない見た目の自然な仮の歯を装着。見た目の良い仮歯で帰宅することが出来ました。
手術自体のリスクとしてはインプラントを埋めることの出来る骨の量が非常に少ないので、行き当たりばったりの手術では成功しません。術前に綿密な準備と手術には非常に高度な技術を要求されます。この症例では術前に当院の所有する石膏系3Dプリンタで患者さん本人の顎骨をコピーした顎骨模型を複数作成し、本番前に模型を相手にコンピュータでシミュレーションした手術を3回行いました。手術自体にはコンピュータガイドステントを作成し、応用することにより誤差の無い非常に精密で正確な結果を得ることができました。
もう一つ、この症例に上顎についてはインプラントの選択が重要になります。オールオン4を提唱したパウロマロが開発したノーベルスピーディーはインプラントの先端部を鼻腔底の皮質骨に食い込ませて初期固定を得る構造ですが、この症例では骨質が極端に悪く、固定源となる硬くて厚い鼻腔底の皮質骨が存在しません。もし、ノーベルスピーディーを用いるのであれば手術侵襲が大きく、術後合併症が起きる確率が高いザイゴマインプラントを使用する必要が出てきます。そんな訳で、この症例ではZIMMER-BIOMET社のT3というインプラントボディー全体で初期固定を得るタイプのインプラントを選択しました。吉岡歯科医院では症例に応じて複数のプレミアムインプラントメーカーの複数のインプラントシステムの在庫を多数準備していて、骨の状態に合わせて、最適なインプラントを使い分けています。
予後について 当院でのオールオン4では手術当日に動かない仮の歯を装着しますが、半年間普通に日常生活を送っていただき経過を観察します。その後、一度、仮の歯を外して個々のインプラントが骨と強固に結合していることを確認してから最終的な補綴物を製作します。その間、十分な治癒期間を確保した後に最終的な補綴物の製作に入りますので、術後に短期的なトラブルなトラブルが起きることは滅多にありません。しかし、若くして多くの歯を失った人は、免疫力などに遺伝的な全身的リスクがある可能性がありますので、治療直後の良い状態を維持する為には、日々の歯磨きなどのお手入れを励行し、定期健診を指定通りに受診し、口腔を良い状態に管理する必要があります。
治療を考えている人へのアドバイス 歯科治療が怖くて何度も手術を行うことが難しい患者さんや、短期間で見た目を一気に回復することを望む患者さんにはオールオン4は非常に有効な治療法だと考えられます。

治療内容の詳細

症例
治療前のパノラマレントゲン写真

治療前パノラマレントゲン写真ですが、上顎下顎ともほとんどの歯牙は歯周病によって歯牙を支えている歯槽骨が消失しています。

症例
治療前のデジタルレントゲン写真

治療前デンタルレントゲン写真でそれぞれの歯牙の状態を再確認します。

症例
治療前の正面

治療前正面ですが、歯を覆っている塊は、動揺が酷い歯牙を樹脂で固定した上に、歯石や汚れが付着した塊です。

症例
治療前上顎
症例
治療前下顎

患者さんは極端な歯科恐怖症のようです。従来の理想的な治療方針は口腔内清掃のトレーニングをして歯周組織の炎症を抑えてから歯牙を抜歯し、そして数ヶ月間軟組織の治癒を待ってから、骨が無い上顎洞部にサイナスリフトと呼ばれる骨造成手術を行い、それから半年待ってからインプラントを埋入し、また、半年程度経過してから二次手術を行い、インプラントにアバットメントを装着してから、仮歯を作るというものです。つまり、一年半以上固定式の仮歯を作るというものでした。しかし、歯科治療が怖くて歯科医院に通えないような人が、何度も手術を受けることは非常に困難です。そこで、私はサイナスリフトなどの骨移植をすることは止めて、たった一日で抜歯からインプラント埋入、固定式の仮歯の装着を行う、オールオン4の治療を選択しました。

症例
3Dプリンタで作成した骨モデル

上は太さ 3.5mmのインプラントが露出しないように、骨が薄い部分の歯槽骨を削除した上で同じようにドリリングした模型です。この石膏系の3Dモデルの素晴らしい点は切削感覚が本物の骨と酷似していることです。骨の内部構造まで完全にさいげんされていますので、どこまで削ると骨が硬くなるとか、急に柔らかくなるとか、力を入れすぎると骨折してしまうなどの手術中に起こることが、予め分かるのです。

症例  
手術直後のパノラマレントゲン写真

上顎に6本、下顎に4本のインプラントを埋入しました。左上の短い傾斜インプラントは骨質が悪く骨量も十分では無かったので、インプラント本体に荷重がかかるのを防ぐ目的でマルチユニットアバットメントの底を歯槽骨頂にダイレクトに接触させています。

症例
治療後の正面
症例
治療後の側面

最終補綴物が装着された状態。補綴物はネジで固定してありますので、万が一破損などが起こった場合でも、ドライバーを使って補綴物を簡単に除去して修理することが可能です。ネジ止めタイプのため、修理は即日に完了します。また、この治療の最大の利点は無くなってしまった歯茎も人工的に作りますので、笑った表情も自然で綺麗な笑顔を作ることが可能です。

吉岡歯科医院の
公式サイトで他の症例を見る

吉岡歯科医院に
問い合わせる

自分の歯の状態に近いオールオン4の症例は?